学 園 催

1stアルバム解説・制作記

1stアルバム『陰陽師』の製作から
未来へ向けての全ての歴史を綴っています
本アルバムは、陰陽師の都「京都」を舞台に
「占い」「呪い」に纏わる物語をPOPにまとめ
そのゆかりの地を巡礼するコンセプトアルバムとなっています。

カテゴリ『コンセプト:京都』 10件の記事を経過順に表示しています

2006.04.11
『陰陽師』コンセプトシリーズ第1弾。
最近はオカルティックなブームの勢力も手伝って、
陰陽師に関心を寄せる若者の人口も増加している。
そして「 陰陽師を知るには京都を学べ 」と言えるほど、
京都には陰陽師ゆかりの地がたくさんある。
それもそのはずで、
京都は長きに渡り本国の首都であったため、
都や国を守る役職である陰陽師の本拠地であったのだ。
今日もその陰陽師の物語を求めて、
京都を訪れる観光客の姿が多く見られる。

さて今回はその神秘性の強い京都についてお話しよう。
この地には数多くの不思議が存在している。
その1つに挙げられるのは地名である。
やはり呪術都市というだけあって、
昔から伝わる不思議で特殊な地名が、
数多く存在している。
そしてその中でも特に不思議に思うのが、
『烏丸』という地名である・・・・(次回へ)
2006.04.14
(前回つづき)
『烏丸』と書いて、
あなたは、どう読むかお解りだろうか?
これは 「 からすま 」 と読む。
「 からす まる 」ではなく「 か・ら・す・ま・ 」なのだ。
「る」は、なぜか発音しないのだ。
なぜ発音しないのだろう?
私も最初は不思議に思った。
一見、当て字かとも思ってみたが、そうにも思えない。
例えば 「 巫女 」 と書いて 「 みこ 」 と読むような場合、
これは当て字という意識でスッキリ受け取れるのだが、
この『烏丸』は完全な当て字というわけでもなく、
かといって正確に読んでるわけでもない。
そこが、かえって不思議や、
呪々しさを漂わせているのだ。
だが調べていくと、
そこには様々な意味があった・・・・(次回へ)
2006.04.18
(前回つづき)
では『烏丸』という地名の由来をお話しよう。

先ずその語源だが、
実は地形的な理由が語源となっていた。
昔、烏丸の街一帯には複数の河川が交差しており、
その事から、河川の間に栄えた街、
つまり(河原・かわら)+(洲・す)+(間・ま)
の語音を音写したものであると伝えられている。
また「ま」は朝鮮語の「マウル」が語源であるという説や、
さらには「からすま」という音声自体が、
アイヌ語をもとに作られたものであるという説もある。

このように多数の説が存在しているが、
いずれにしても1つ確実に言える事がある。
あなたは、もうお気付きだろう?
そう、全て「音写」が用いられていることだ。
「音写」-----ここがポイントである。
これは本学園のアルファ・スキャットにも通ずるものがあり、
すでにこの時代に、音の響きを大切にした表現方法や文化が、
誕生していたと推測されるのだ。
音写が最も盛んに用いられるのは、
仏教や陰陽道などの唱文である。
この事からも、当時から呪術的な意識や、
祈りに関する風習が強く根付いていた事が感ぜられる。
2006.06.20
『陰陽師』コンセプトシリーズ第3弾。
今回は京都の住所表記についてお話しよう。
これは呪術とも音楽とも全く関連していないが、
その表記の不思議さゆえに、
呪々しく受け取られる傾向があり、
実はまわりの者達から時々質問を受ける事があるのだ。
そして本アルバムを聴き進める上でも、 この知識があった方が、より有効であるので、
ここで解説をしてみる事にする。
京都市の住所表記はこのようになる。
京都市 中京区 寺町通御池上る 上本能寺前町 
上記は京都市庁の住所を例に挙げてみた。
ご覧のように、とても長い表示になる。
最長のものだと、ちょっとした文章ぐらいの量になる表記もある。
とても住所とは思えないではないか・・・・・・・
あたかも呪文のようだ。
一体何でこのような書き方なのだ?(つづく)
2006.06.27
では京都の住所表記の謎を一つずつ解明していこう。
前回の例で挙げた京都市庁の住所をもとに解説する。
(例) 京都市 中京区 寺町通御池上る 上本能寺前町
まず京都市中京区のところまでは、
他都市と同じ形式なので、解説がなくても大丈夫であろう。
問題は次からの表記だ。
まず寺町通御池と書かれている。
何やら様々な内容が連続して書かれているように見える。
これは京都特有の表記で、
「寺町通り」と「御池通り」の2つの通りが交わる交差点を表している。
次に「上る」と書かれている。
京都では、
北に向かう→上る
南に向かう→下る
西に向かう→西入る
東に向かう→東入る
という風に表す。
つまり寺町御池の交差点から真っ直ぐ北へ向かった場所にある、
上本能寺前町という街を示している。
もうお分かりだろうか?
そう、京都の住所表記は、
目的地までの道案内をしてくれているのである。
だから初めて京都を訪れる観光客も、
この表記を頼りに迷わず目的地に到達出来るのである。
他の街では見られないとても親切な表記なのである。
ではなぜ京都だけがこのような特別な表記が可能なのか?
それは街のつくりに関係がある。
京都は今もなお平安京 当時の街並みがそのまま保存されている。
それは碁盤の目状に綺麗に整列している。
それゆえに、このような道案内式の表記が可能なのである。
かつての首都、そして呪術都市というだけあって、
やはり他の都市とは何かひと味違う京都であるが、
この住所表記は見た目ほどの呪々しい由来はなく、
あくまで都市設計上の都合で成り立ったものであった。
今後、上洛する機会がある時は、
ぜひこの知識をお役立て頂きたい。
(ちなみに上記の特殊表記が出来る場所は京都市内でも、
完全に統制のとれた上京区、中京区、下京区、東山区などの洛中に限る)
2007.07.07
本日7月7日は「貴船の水祭り」である。
京都北山の貴船神社にて執り行われる。
水の恩恵に感謝を捧げ、水徳をたたえ、恵みを祈る祭である。
本アルバムにも収録されている「貴船山」がまさにその場所である。
さらに京都では夏に入ると、祇園祭、大文字五山送り火など、
様々な祭が次々に開催される。
本アルバムでは、そういった祭シーズンの京都情緒を一挙に楽しめる内容となっている。
そういう意識の中で本アルバムの歌曲に聞き入れば、
どこか懐かしい、良き思い出にふれるような不思議な空間にたどり着けると思う。
2007.07.14
現在、京都では祇園祭の宵々々山が執り行われている。
これは祭の一番舞台でもある山鉾巡行の三日前夜を意味する。
今、クライマックスに向けてヴォルテージが益々高まっている。
本アルバムにも「祇園祭」という歌曲がおさめられている。
ドラムのリズムは終始一定で、定期的なリズムを生み出している。
本家の祇園祭のお囃子も一定のリズムで、
聴く者をトランス状態に導くようである。
定期的なリズムというものは、人々を快に向かわせる何かがあると思う。
2007.07.21
先日17日に祇園祭・山鉾巡行が執り行われた。
祇園祭とは京都・八坂神社をはじめとする牛頭天王を祀る神社の祭礼の事である。
本アルバムの歌曲「祇園祭」は、本家のお囃子にくらべ、
ヘヴィーでアップテンポなものになっている。
作曲当初は本家と同じようなスローなリズムで構成された歌曲であったが、
曲調的にあまりにもそのまま過ぎると感じたため、
あえてこのような新しい形で表現しているのである。
とはいえ----定期的なリズム感・日本の夏・祭の情景----
といった雰囲気は如実に再現されていて、
違った角度から祇園祭を楽しむという趣向の作品におさめられている。
「夏のお供」に如何であろう?
2007.07.28
本アルバムの歌曲、「出町柳」も夏の情景を意識して作曲したものである。
出町柳とは、京都・左京区の賀茂川と高野川がYの字に交差する地点で、
何とも不思議で興味深い形におさまっている。
川には飛び石が並んでいて、岸から岸へ渡る事が出来る。
見ているだけでも涼しげな空間である。
夏休みになれば子供達が川遊びを楽む声がする。
夕日が川に映る。セミが鳴いている。
とてもノスタルジアな時間が漂っている。
そんな懐かしい想い出が甦ってきそうな一曲である。
2007.08.18
夏も後半に入った。
本アルバムの歌曲「丸竹夷」は、
ちょうど今頃の情景を表した歌曲である。
丸竹夷とは京都の通り名を覚えるための「わらべうた」である。
夕方時に京町屋の路地からこの歌が聞こえてくる。
わすれかけてた事を思い出させてくれるかのようだ。
人はみな、初めは純粋だった。
その頃の気持ちに帰らせてくれる、そんな一曲である。




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